「安全意識や責任感が根本的に欠如」 13兆円賠償命じた判決の要旨
東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主が旧経営陣5人に損害賠償を求めた株主代表訴訟で、勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長に13兆3210億円の賠償を命じ、小森明生元常務への請求を退けた東京地裁判決の要旨は次の通り。(敬称略)
【東電に対する取締役の善管注意義務について】
原発では、周辺環境に大量の放射性物質を拡散させる過酷事故が起きると、原発の従業員や周辺住民らの生命や身体に重大な危害を及ぼす。また、国土の広範な地域や国民全体に対しても、生命や身体、財産上の甚大な被害を及ぼし、地域の社会的・経済的コミュニティーの喪失を生じさせ、我が国そのものの崩壊にもつながりかねない。このため、原発を運転する原子力事業者には、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて、過酷事故を万が一にも防止すべき社会的、公益的な義務がある。
したがって、原子力事業を営む会社の取締役は、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて想定される津波により、過酷事故を防ぐために必要な措置を講ずるよう指示すべき会社に対する善管注意義務を負う。東電の取締役だった被告らが、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて過酷事故が起こるおそれがあることを認識していたのに、事故を防ぐための必要な措置を講じる指示をしなかったときには、東電に対し取締役としての善管注意義務に違反する任務懈怠(けたい)があったことになる。
【予見可能性の有無について…
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