安倍氏死去、弔問にナンバー2を送った蔡英文政権 台湾を覆う焦燥感

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台北=石田耕一郎

 親台湾派として知られた安倍晋三元首相の死去を受け、蔡英文(ツァイインウェン)政権が焦燥感を強めている。統一を目指す中国の圧力が増すなか、外交の大きな対日パイプを失ったためだ。政権は弔問のため副総統の派遣に踏み切る重視ぶりも見せるが、今後の日台関係の強化には多くの課題が残されている。

 安倍氏の死去から3日後の11日、蔡氏や蘇貞昌(スーチェンチャン)行政院長(首相)ら政権幹部が、台北市の日本台湾交流協会の事務所(日本大使館に相当)を追悼に訪れた。政権は、全土の行政機関や公立学校で半旗を掲げるよう指示するなど、正式な外交関係が無い他国の政治家をめぐる対応としては、異例の動きを続ける。

 背景にあるのは、安倍氏が貫いた親台湾の姿勢だ。安倍氏は中国が日台の接近に神経をとがらせる中、首相だった2013年には、日台間の漁業取り決め締結を支持。15年には、訪日した李登輝(リートンホイ)元総統とも非公式に会談した。

 21年には中国から禁輸とさ…

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    坂尻信義
    (朝日新聞編集委員=国際政治)
    2022年7月14日14時44分 投稿
    【視点】

    今年は日本と中国が国交を正常化してから、50年の節目です。つまり、日本が台湾と断交してから50年でもあります。この半世紀、日台双方は曲折を経ながらも、関係を深めてきました。東日本大震災のあと、多額の寄付が台湾から届いたことは、いまも記憶に新

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