安倍元首相の葬儀営まれる 頰ずりし別れた昭恵氏「夢見ているよう」

楢崎貴司
【動画】安倍晋三元首相の葬儀が営まれた=西田堅一撮影
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 安倍晋三元首相の葬儀が12日、家族葬として東京都港区増上寺で営まれた。喪主は妻の昭恵氏が務め、岸田文雄首相や菅義偉前首相、麻生太郎自民党副総裁ら約1千人が参列した。敷地の外にも多くの人たちが訪れた。

 ほかに参列したのは、森喜朗元首相、日本維新の会松井一郎代表、国民民主党前原誠司元外相、台湾の頼清徳(ライチントー)副総統、拉致被害者有本恵子さんの父明弘さん、亀井静香元金融相、経団連の十倉雅和会長ら。焼香を終えた後、安倍氏に最後の別れを告げた。

 自民党安倍派で最高顧問を務める衛藤征士郎防衛庁長官は、棺(ひつぎ)の中の安倍氏は「いい顔をしていた。静かに、何か思いにふけっているような顔だった」と記者団に話した。衛藤氏らによると、出棺前に昭恵氏が安倍氏の顔に頰ずりをして別れを惜しんだ。昭恵氏は「まだ夢見ているようです。主人のおかげで色々なことを経験できました。すごく感謝しています。いつも私のことを守ってくれました。主人も政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして最後、冬を迎えた。種をいっぱいまいているので、それが芽吹くことでしょう」などとあいさつしたという。

 また、麻生氏が弔辞を読み、「外交について持ち前のセンスと一線を譲らない胆力で、国際社会での日本の存在を高めた戦後最も優れた政治家だ」と賛辞を送った。最後に「あなたは私の弔辞を読むことになっていたんじゃないか。こうして弔辞を読むことは大変つらい」などと語ったという。

 会場内では安倍氏が生前にピアノを弾いている様子や、若い頃に昭恵氏と2人で色々な場所を訪れた際の写真が映し出された。

 葬儀後、午後2時半ごろに出棺。棺を乗せた車は、安倍氏が長年活動した東京・永田町の自民党本部や国会議事堂の前を通った。首相官邸の敷地内にも入り、岸田首相らが拝みながら見送った。沿道には大勢の国会議員や一般市民らが駆けつけ、安倍氏を見送った。その後、火葬に付される品川区の斎場に向かった。

 11日の通夜には国会議員のほか、各国大使や経済人、文化人ら約2500人が焼香に訪れた。(楢崎貴司)

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