安倍元首相の警護「私なら…」 米国務長官の元警護担当が語ったのは

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ワシントン=下司佳代子
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 安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され亡くなった事件で、警備に問題はなかったのか。米国のライス元国務長官の警護をはじめ、さまざまな要人警護を担当してきたマイケル・エバノフ元国務次官補は、取材に「私なら違う対応をした」という点を一つ挙げました。

〈Michael Evanoff〉 2017~20年、トランプ政権で外交保安担当の国務次官補を務めた。国務省傘下の外交保安局に長く勤め、コンドリーザ・ライス国務長官(当時)の警護を担当したほか、北大西洋条約機構(NATO)や米在外公館などで要人警護にあたった。

 ――銃撃の映像をご覧になり、気になった点はありますか。

 とても悲しい事件です。日本の歴史上、最も長く首相を務めた愛すべき人物が銃撃を受けて亡くなったことは衝撃的です。

 私は35年以上、警護に携わってきました。元職でも危険にさらされることはあります。ポンペオ前国務長官はイランからの脅威にさらされており、いまも国務省の外交保安局が守っています。ですから、安倍元首相が銃弾に倒れたという今回の件は胸に刺さりました。

 その上でまず思ったのは、日本は安倍元首相にどれだけの警護をつけているのかということでした。米国では元大統領に、現職時代の規模ではないにせよ、現職大統領と同じ質のシークレットサービス(大統領警護隊)が付き添います。

 その次に思ったのは、事前の状況把握や導線の確認といった先着警護をどのくらいしていたのかということです。駅での演説には、そもそも問題が多い。元首相の演説を見るためにたくさんの人で混雑する状況で警備する人員を確保できないかもしれないからです。

脅威は常に「人」

 また、写真やビデオで見た限りでは、元首相と聴衆の間を遮るものがなかったようにみえます。米国で前大統領や要人が演説するときは、演説する場所だけでなく、その周りで警察官が群衆に対応できるようにするためのスペースも確保します。今回、手製の武器で背後から襲われたわけですが、現場にどれだけの警察官が応援に駆けつけていたのでしょうか。

 次の疑問は、安倍元首相が現…

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この記事を書いた人
下司佳代子
アメリカ総局|米国の外交・防衛
専門・関心分野
国際報道