選挙のたびに指摘される若者の投票率の低さ。たしかに20代の投票率はここ30年、全体より20ポイントほど低い数字が続いています。ただ、投票率は年齢が増すにつれて上がっていきます。では、かつての「若者」はその後、いつ、どのようにして投票に行くようになったのか? 気になった記者(27)は過去の新聞をめくり、朝日新聞の取材に対して「選挙に行かない」と答えていた元「若者」を訪ねました。

 “初めて投票へ行ったのが、3年前の参院選。印象は薄かった。「だれに投票したか、覚えていないんです」。政治は、「遠い存在」にしか見えない。

 団塊ジュニアの世代。これまで何度か、両親から「一緒に投票へ行こう」と誘われたが、何となく行く気になれずに断ってきた。どんな選挙でも、投票所の入場券は投票日までなくさないで持っている。だが、その日に習い事などが入っていれば、そちらの方を優先させてきた。”

21年前の新聞に登場する「若者」 記者が探し当てた

 参院選を目前に控えた2001年7月28日付朝刊の山梨県版。「有権者に聞く『私の投票遍歴』」と題する記事には、団塊ジュニア世代の代表として答えていた24歳の女性の名前があった。

 電話帳などを駆使し、21年前の新聞に載っていた野中久美さん(45)を探し当てた。いまは、甲府市にある肉料理店「佐渡屋」で専務をしていた。

 取材を申し込むと快諾してくれたので、甲府市まで会いに行った。

 当時の取材、覚えていますか――。

 「何となく覚えています。ちょ…

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