コスト増の価格転嫁鈍く 物価見通し初の2%超えも「危険なサイン」
日本銀行が1日に公表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、資源価格の高騰などで、大企業・製造業の景況感を示す指数が2四半期続けて悪化した。一方、国内のコロナ感染の影響が和らいだことを受けて飲食や観光サービスに客足が戻るなど、大企業・非製造業は2四半期ぶりに改善した。ただ、物価高の影響は業種を問わず及んでいて、コロナからの回復に動き始めた日本経済に影を落としている。
調査対象の国内約1万社のうち、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした割合を引いた業況判断指数(DI)をみると、大企業・製造業は前回3月調査から5ポイント下落して、プラス9だった。
主因は、ロシアのウクライナ侵攻を受けた原材料価格の高騰だ。落ち込みが大きかったのは素材を扱う業種で、木材・木製品が20ポイント下落のゼロ、鉄鋼が16ポイント下落のマイナス6。自動車は4ポイント下落のマイナス19となった。製造業16業種のうち悪化したのは12業種。そのすべてが景況感の押し下げの理由に原材料高を挙げた。
仕入れ価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」とした割合を引いた仕入れ価格判断DIは、3月から7ポイント上昇してプラス65。第2次オイルショックの影響があった1980年5月以来の高水準で、歴史的な原材料などの高騰に見舞われている。
ただ、仕入れコストの増加を…