札幌市電、半世紀ぶり里帰り 鉄オタの執念、600万円超かけ実る
佐々木洋輔
かつて札幌市電の「幌北(ほろきた)電車庫」があった札幌サンプラザ(北区北24条西5丁目)横の広場に、市電「248号」が里帰りした。幼いころに北24条を走る市電風景を懐かしんだ市電ファンの男性が、廃車になった248号をオークションで落札。クラウドファンディング(CF)で輸送費を募り、地元商店街と協力して実現させた。
青空が広がった6月11日午後、札幌サンプラザ横の広場で市電「248号」のお披露目会があった。淡い緑色に丸みを帯びた車体。まん丸のヘッドライトが人なつこい雰囲気を醸し出す248号。その周りには、緑の法被を着た北24条商店街振興組合のメンバーが集まり、地元中学生が吹奏楽の演奏をして「再出発」を祝った。
「夢がかないました。この街の市電の歴史と記憶を紡いでいきたい」
ぱりっとしたスーツを着てテープカットのあいさつに立った角川幸治さん(52)は、感無量の様子で話した。
角川さんこそが、この里帰りを仕掛けた市電ファンだ。
北23条に生まれ育ち、幼い…