第2回歴戦の選挙プランナーに聞く「参院選で勝つために必要な七つの戦略」

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後藤泰良
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 選挙プランナーの松田馨さん(42)は衆参の国政選挙から地方選挙まで250を超える選挙に携わってきた。迫る参院選の選挙区の立候補予定者・候補者は、当選するためにどんな「戦略」を練るべきなのか。戦略と向き合う有権者は、どのように投票行動をとったらよいのか。「選挙のプロ」に聞いた。

①地盤、看板、カバンより大切な「バン」

 選挙には、後援会などの組織力「地盤」、候補者の知名度「看板」、資金力「カバン」の3バンがあると有利と言われる。だが、松田さんは、3バン以上に大切な「バン」があると説く。

 候補者自身の力「基盤」だ。

 なぜ参院議員に立候補して、当選したら何をするのか。当たり前のようだが、その理由の強さ、熱意によって結果は違ってくるという。

 「熱意は運動中の必死さにつながり、熱意はあればあるほど周囲に広がります。本人が直接ふれ合える人は限られますが、応援してくれる人たちが、どれぐらい熱をもって周りに頼み込んでくれるか。ここが、候補者の熱意で変わってくるのです」

 立候補の確たる理由や当選後のしっかりとしたビジョンがなければ、「地盤」「看板」「カバン」がそろっていても勝利は危ういのかもしれない。

②伝統も流行もあるポスター

 松田さんは「選挙は伝統芸能」と表現する。「選挙はこうあるべきだ」という固定観念を持っている選挙関係者や有権者が多く、違うことをやりにくい。つまり、基本を押さえることが大切、というわけだ。

 「名前と顔が大きく、表情は笑顔のポスターは当選確率が高いというデータがあります」

 候補者のポスターが並ぶ中、ビジュアル的な主張が強い方が選ばれやすい、という。

 「どういう写真を使っても候補者の能力が変化するわけではありませんが、ポスターを見る短い時間で印象をよくすることは大切。候補者が持つ本来の魅力を伝えるためです」

 ただ、印象を良くしようと加工をするのは危険。松田さんは「あまりに不自然な写真になると信頼を損なう恐れもあります」と指摘する。本人とかけ離れた加工をするのは、得策とは言えないようだ。

 最近の傾向としては、QRコードを入れるケースが増えているそうだ。「政策などを知りたいという人がアクセスしてくれる。アクセスしてもらえなくても、政策に自信があるという点をアピールできる」

 松田さんの戦略は法律を守り、適切な政治活動と選挙活動をすることが大前提だ。記事後半では、その詳細とともに、有権者が投じる1票は、候補者を当選に導く以外の価値も持つ、という視点を紹介する。

■③テーマカラーを差別化にい…

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2022年6月19日17時19分 投稿
    【視点】

    私も「選挙オタク」の一人として、松田馨さんとはときどき意見交換をさせていただいていました。すごい選挙参謀です。彼がかかわって、無風とみられた選挙が接戦になったり、大逆転したりする場面を何度も目の当たりにしたこともあり、選挙の奥深さを思い知ら

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