心神喪失で加害者が無罪になったら 「被害者にできること」考えよう
遠藤美波
重大事件を起こした加害者が心神喪失などを理由に不起訴や無罪になったら――。そんな事件の被害者や遺族が置かれる現状について考えるシンポジウムが15日、東京都千代田区の弁護士会館であった。弁護士や加害者の治療にあたる医師らが登壇し、現状の制度の問題点を議論した。
主催したのは、任意団体「医療観察法と被害者の会(通称『がじゅもりの会』)」。代表の大森真理子さん(55)は3年前、夫の信也さん(当時46)を事件で亡くした。信也さんを刺した加害者は、刑事責任能力の有無を判断するための鑑定留置の結果、事件時に心神喪失だったとされ、不起訴処分になった。
通常の刑事裁判では、被害者が裁判に参加して意見を述べることができる制度がある。また、加害者の有罪が確定すれば刑務所内での処遇や釈放される時期を知ることができる。一方、加害者が刑事責任能力がないとして不起訴になると、遺族や被害者が意見を述べる機会は与えられない。加害者の処遇について得られる情報も「氏名」や「入院しているかどうか」など、ごくわずかに限られる。
「被害者にできることはほとんどない」
シンポジウムに出席した新全…