しなの鉄道新社長に元県部長の土屋智則氏 軽井沢開発、年内に方向性

滝沢隆史
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 長野県出資の第三セクター「しなの鉄道」(長野県上田市)は15日、株主総会と取締役会を開き、春日良太社長(68)が退任し、土屋智則・経営戦略部長(61)が新社長に就任する人事を決めた。

 土屋氏は中野市出身の元県職員。県健康福祉部長などを務め、昨春しなの鉄道に移った。土屋氏は同日の記者会見で、「安全輸送の確保を最優先し、地域の貴重な足として鉄路をしっかり存続させたい」と言及。不動産大手の三菱地所(東京)と進める軽井沢駅東側の遊休地開発は「年内に一定の方向性を出したい」と述べた。

 コロナ禍で旅客の回復が遅れ、足元の経営環境は依然として厳しい。同社がこのほど発表した昨年度決算によると、国や県、沿線市町から5億円の補助金を受けたが、純損益は4千万円の赤字(2020年度は4億2千万円の赤字)となり、3期連続の最終赤字を計上。今年度の決算見込みでも、2億7千万円の最終赤字を想定している。

 加えて、電気料金などの高騰も追い打ちをかける。運転用の動力費は年間3億円程度とされ、省エネ新型車両への更新を進めているが、「億単位の追加負担が発生する可能性も危惧している」(土屋氏)という。

 同社は昨秋、乗り継ぎ割引の廃止や減便、無人駅の拡大などの経営改善策をまとめた。土屋氏は「コロナの収束は見通せないが、25年度には黒字に転換させ、31年度までの10年間で損益の均衡をめざす」とした。

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