フードバンクうつのみや苦境、食品寄付を呼びかけ

中村尚徳
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 【栃木】生活が立ち行かない人たちに、食品を無償で提供する「フードバンクうつのみや」(宇都宮市)の在庫が枯渇の危機に陥っている。長引くコロナ禍に加えて物価高も暮らしを圧迫し、支援を求めて駆け込む人が増えているためという。バンクは自宅に眠っている食品の寄付を呼びかけている。

 バンクによると、5月は訪れた延べ226人に対し、計約2・2トンの食品を提供した。昨年の同じ月と比べ、68人、約850キロ多かった。1カ月間の支援が200人を超えたのは、2011年のバンク活動開始以来初めてという。

 この一方で、食品の寄付量は、4月が1299キロ、5月が1679キロと、いずれも昨年度の同じ月よりも30%前後減った。食品を持ち寄るフードドライブが、年度初めは計画段階の団体が多いこともあり、賞味期限ごとの棚に分けられた食品の数は日を追うごとに少なくなってきている。

 事務局の牧岡健さん(44)は「乾パンなどの災害備蓄品や米は企業や農家から定期的に寄付を受けているが、おかずやご飯のお供が不足している。4、5月は利用者が多く、一気に在庫が減った」と説明する。

 調理器具のない世帯や体の不自由な人、お年寄りは、調理の必要がなく、簡単に食べられるものを求めている。「コロナ禍で仕事を失い調理をする気になれないという人もいれば、電気などを止められて調理できない人もいます」

 新型コロナウイルス感染拡大以降、バンクを訪れる人は増え続けている。コロナ前、18年度の相談件数は681件だったが、19年度841件、20年度1294件になり、21年度は1658件まで膨れあがった。

 物価高も生活を圧迫している。牧岡さんは「少ない年金が早くなくなるなど、生活コストも押し上げられています。影響はあると思いますね」とみる。

 不足しているのは、ご飯に添えて食べる食品で、カレー、親子丼、肉丼などのレトルト食品、缶詰、のり、瓶詰食品、ふりかけのほか、即席ラーメンなど。常温で保存でき、賞味期限が1カ月以上残っていれば缶詰1個でも受け付ける。

 受け付けは祝日をのぞく火~土曜日の午前10時から午後6時。問い合わせは電話(028・622・0021)へ。(中村尚徳)

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