不適切な交付金、回収困難と債権放棄の町に町議会が「待った」

吉田啓
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 自然環境の保全など、農業や農村が持つ様々な機能を維持する活動に支給される交付金で、熊本県甲佐町の団体に不適切な処理があった。交付された総額約488万円のうち約4割が団体側から町に返金されたが残りは回収の見込みが立たないとして、町は町議会定例会最終日の14日、債権を放棄する議案を提出。これに対して町議会は、債権の扱いを協議する審査特別委員会設置の動議を可決。町の債権放棄の方針に「待った」をかけた。

 問題とされているのは、国や県、市町村が農業・農村の機能維持のための共同活動をする地域団体に支給する「多面的機能支払交付金」の処理について。町の町議会への説明によると、交付金を受け取った町内の団体のうち「上豊内資源保全会」で不正行為があったと2020年、住民から県に申し立てがあった。

 町が調査したところ、活動の際に参加者に支払われたと報告された日当が、個人には支払われておらず地区の会計に入金されていた。複数の人の受け取り印に、同じ印鑑が押されていたなどの不適切な処理が見つかったという。

 国や県は、同保存会の活動自体が不適切と判断して書類が保存されていた2015年以後の5年間分について交付金の全額返還を求めた。国と県の支出分は町が返還し、町は総額の返還を同保存会に求めた。

 町は今年5月までに約212万円が同保存会側から返還されたが、残る約276万円は今後、回収の見込みが立たないとして債権放棄の議案を提出した。

 町議からは「事実関係の解明が尽くされていないのではないか」などと質問が続き、荒田博町議(38)=無所属=が「この場で結論を出すことは難しい」と審査特別委を設けて審議を付託するよう動議を提案。賛成多数で可決された。

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