瓶ジュースのふたをポン! 懐かしの「列車栓抜き」愛好家の手で復活

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清野貴幸
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 かつて列車内で使われていた備え付けの栓抜きが、令和の鳥取市でよみがえった。作ったのは、子どものころ車内で瓶ジュースの栓を抜くのが楽しみだったという鉄道愛好家。地元の道の駅で売られている。

 商品名はそのままずばり、「昔、汽車に付いとったや~なセンヌキ」。鳥取市鹿野町で美容室を営む三谷健吾さん(53)が生みの親だ。

 栓抜きは客車の窓の下側、物を置く台などに据え付けてあった。固定され、片手で栓が抜ける。京都鉄道博物館京都市)によると、戦後まもなく登場したとみられ、昭和40年代に缶入り飲料が普及したのに伴いほぼ姿を消したという。

 幼少時から乗り物好きだったという三谷さんは鳥取市中心部に通学した高校時代、列車内でよく栓抜きを利用していた。目にする機会が減っても忘れられず、子どものころは瓶ジュースを飲ませてもらうのが楽しみだったこともあって、「いつか思い切り使いたい」とあこがれ続けていたという。

 ネットで偶然見つけたのが昨年の夏ごろ。北海道和寒町のユースホステル「塩狩ヒュッテ」が売っているのを二つ購入した。在庫が少ないことを知り、自分で手がけることにした。栓抜きが「現役」で走る岡山県内の観光列車に乗り、サイズを実測。金属の加工や色塗りは地元の業者や福祉施設に頼んだ。栓をうまく抜くため、引っかける部分の角度など微調整を繰り返し、栓を開けた瓶のコーラは友人たちが飲んで協力したという。

 こうしてできた栓抜きは自宅に近い道の駅「西いなば気楽里(きらり)」で売られている。雰囲気を出すための補助木付き2200円、なしが1850円(ともに税込み)。「日常生活にちょっとした楽しみをと商品化を考えた。地元の店で瓶ジュースが1本でも売れることにつながればありがたい」と三谷さん。手が不自由な人や高齢者ら普通の栓抜きが使いづらい人にも向くと考えている。売り上げの一部は社会福祉に寄付するという。

 三谷さんがお手本にした栓抜…

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この記事を書いた人
清野貴幸
鳥取総局
専門・関心分野
自然生態系、環境問題