少子化なぜ止まらない?「あきらめ」広がる若者 社会保障だけでは…

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聞き手・石川友恵
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 少子化が止まりません。2021年に生まれた日本人の子ども(出生数)は81万1604人と、1899年以降で過去最少となりました。婚姻数も戦後最少を記録。なぜ少子化にブレーキをかけられないのでしょうか。日本総研の藤波匠(たくみ)・上席主任研究員に背景や必要な対策について聞きました。

 ――過去最少の出生数となりました。コロナ禍の影響が大きいのでしょうか。

 新型コロナウイルスの影響はもちろんあると思いますが、出生数はコロナ前の2016年から急速に減少しています。そもそも構造的な問題が背景にあると考えます。

 ――構造的な問題とは何ですか。

 経済や雇用環境の問題です。例えば、生まれた年が若い人ほど、物価変動の影響を除いた実質賃金は下がっています。大卒の男性正社員の実質賃金(21年基準)について40歳代時点の平均年収を比較したところ、バブル景気時に就職時期を迎えた人が多い1963~67年生まれの世代に比べて、73~77年生まれの人たちは約150万円低くなっていました。世代間での賃金の差を解消しなければ、教育などにかかるお金への心配から、子どもをもちたいという意欲の低下につながります。

若い世代に広がる「あきらめ」とは?

 ――女性も、非正規雇用などで経済的に厳しい人が多くいます。

 派遣だと職場を転々とするので結婚につながる出会いが少なかったり、婚活サービスもお金がかかって利用できなかったりします。

 連合(日本労働組合総連合会)が22年2月に非正規雇用の女性1千人を対象にアンケートしたところ、初めて就いた仕事が正規雇用だった人の場合、「配偶者がいる」「子どもがいる」と答えた割合はともに約6割でした。一方、非正規雇用だった人ではどちらも約3割にとどまりました。

 雇用や経済状況が不安定だと…

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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2022年6月7日13時55分 投稿
    【視点】

    先日、学生の人たちと話していて、「周りの多くの人は子どもを持とうとは思っていない。コスパが悪いからだ。」という声を聴いて、衝撃を受けた。 コスパが悪いという意味は、どういうことなのか? 経済的な意味かと尋ねたところ、経済的な意味合い

    …続きを読む