「ダム計画で2度の困惑、申し訳ない」熊本知事が一部水没の五木村で

大貫聡子
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 川辺川への流水型ダム建設をめぐり、蒲島郁夫熊本県知事が5日、五木村を訪れ、今後の振興計画を住民に直接説明した。村民から「振興策の財源は?」「ダムの可否は住民投票で決めさせてほしい」など、質問や要望が相次いだ。

 ダム建設計画で、村の一部が水没予定地となっている。2会場で開かれた説明会に計約130人の村民が参加した。

 川辺川へのダム建設計画は、蒲島知事が2008年に白紙撤回していったん中止されたが、20年の球磨川流域の豪雨災害を受け、球磨川水系の治水対策のため、国に建設を要望した経緯がある。

 会の冒頭、蒲島知事は「2度にわたり困惑させることになってしまい申し訳ない」と謝罪。清流と住民の命を守るため「ダムという選択肢は外せなかった」と流水型ダム建設にかじを切った理由を説明した。

 その後、県の担当者がダム見学ツアーやプロジェクションマッピングなど流水型ダムを生かした観光振興策や、ドローンを使った買い物支援、ICT(情報通信技術)による林業人材の確保など、ダムを受け入れた場合に実施される振興計画の概要を説明した。計画は国、県と村による協議を経て今秋にも策定予定だ。

 かつて村長を務めた西村久徳(ひさのり)村議(86)は「半世紀にわたってつらい思いをし、村は空っぽになってしまった。人材育成と言われても、人がいなくてはしようがない」「なぜ我々だけが流域の犠牲になるのか」と訴えた。(大貫聡子)

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