神宮外苑の再開発、反対署名8万1422人分 樹木伐採を批判

小林太一
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 明治神宮外苑地区の再開発計画で、約1千本の樹木の伐採に反対する8万1422人の署名が2日、東京都に提出された。中央区在住で米国人経営コンサルタントのロッシェル・カップさん(57)が2月からオンラインで集めていた。カップさんは都庁で会見を開き、「問題が多い計画で市民の共感を得られないのは明らかだ」と訴えた。

 計画ではスポーツ施設や高層ビルを新設し、971本の樹木が伐採される予定。都と事業者は「詳細な調査を行い、極力保存か移植する」としている。

 5月末に再開発が環境に与える影響を評価する審議会があり、委員から樹木の状態を調べたデータの提出を事業者に求める意見が出たため、審議が長引いている。

 カップさんは会見で、事業者代表の三井不動産に渡す要望書を読み上げ、「環境アセスメントで適切に情報公開をしない御社の対応に評価の結論が出ず、異例のペンディングになっている」と批判。いったん立ち止まってゼロベースで見直すべきだと主張した。

 都に対しては、計画優先で保存と移植を判断せず、緑を保全するために「樹木医だけでなく、環境全体に知見のある専門家の調査が必要」と呼びかける要望書を手渡した。

 文化遺産保存の専門家らでつくる日本イコモス国内委員会が4月末、都に提案したラグビー場の現地建て替えと、外苑内の車道を歩行者用通路にすることで、伐採本数を減らす案を検討することも要望した。

 カップさんは3月に約5万1千人の署名を都に提出しており、今回で2回目。「事業者のサイトが立ち上がり、多くの人が計画を知るようになって署名が増えている」と説明し、今後も署名の受け付けを続ける方針を明らかにした。(小林太一)

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