eスポーツで挑む「世界王者」 横浜拠点のFENNEL、来月大会へ

中村英一郎
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 【神奈川】横浜市を拠点とするプロeスポーツ団体「FENNEL(フェンネル)」のメンバー3人が賞金総額約6億円の世界大会に出場することになった。幼いころからゲームに熱中し、「好きなことを仕事にできた」と話す3人がeスポーツの本場米国で世界に挑む。

 第一生命による2022年の調査では、中学校男子の「大人になったらなりたいもの」で、eスポーツ選手は野球選手と同じく9位となった。今や子どもたちの憧れの職業と認識され、スター選手の活躍が人気を支えている。

 横浜市を拠点とするフェンネルのApex(エイペックス)部門メンバーも、プロeスポーツ選手として活躍している。ぴのた(24)、しゃかぼー(21)、モーモン(20)の3選手で、7月に米ノースカロライナ州で開催される賞金総額約6億円の世界大会に出場する。

 エイペックスとは、3人一組で計20チームが参加して攻撃し合い、生き残りが最後の1チームになるまで戦う、いわゆるバトルロイヤル型ゲーム。約20種の中から使用キャラクターを選択。その特徴や武器などを駆使し、勝者が決まるまで約20分競い合う。

 3選手は4~5月に開催された大会で好成績を残し、結成から約1年で、同競技の年間世界王者を決める大会への出場を決めた。

 eスポーツ選手になった経緯は三者三様だ。

 ぴのた選手は小学生のころ、ほぼ全てのメーカーの機器が家にそろい、「ゲームが日常だった」と話す。しかし、高校在学中に就職活動をしていた時期は、eスポーツ市場はまだ小さく、「進路の選択肢になかった」。一般企業で働きながら、趣味でゲームを続けていたときにエイペックスと出会った。思考力も求められるところが「自分に合っている」と感じ、会社員をやめてプロを目指した。

 しゃかぼー選手は10代のアルバイト生活時代に、動画サイトで見つけた海外のeスポーツ会場の盛り上がりに「かっこいい。いつか自分もあの場所に」と魅せられた。お金をためて機器を購入、練習を積んでプロチームに応募した。

 「じいちゃんの影響」とゲームを始めたきっかけを語るのは、モーモン選手。好奇心旺盛な祖父が、刻々と進化する新しいテクノロジーに触れさせてくれ、力をつけていった。「じいちゃんは今も一番のファンで、自分が出る大会の動画サイトに書き込みもしてくれる」

 フェンネル代表の堀田マキシムさん(23)は、3人について、「テクニックは日本最高クラス。相手の動きを予想する思考力もあり、何よりもモチベーションが高い」と評する。その上で、「勝つことでファンを増やし、より影響力のある選手になってほしい」と期待する。

 堀田さんによると、eスポーツは発展期を迎えている。在宅時間増加によって、ゲーム関連動画の再生回数が増え、著名人はゲームに参加する模様を動画投稿するようになった。「今までマニアのものだった」というeスポーツは一気に市民権を獲得した。ただ、世界のトップ選手は海外勢が占めており「日本人選手が世界の舞台で活躍すれば、もっと多くの人を魅了していくでしょう」。(中村英一郎)

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