女性記者「他の犯罪とは違う」 性暴力訴訟で長崎市に勝訴
報道機関の女性記者が、取材相手の長崎市職員(故人)から性暴力を受けたとして市を訴えた裁判は30日、女性記者側が勝訴した。判決を前に取材に応じた女性は、「私のように悔しい思いをしている人は、他の業種にもいると思います。職権乱用はいけないということを、社会の判例にしたい」と話していた。
訴状などによると、女性が被害を受けたとされるのは2007年7月。長崎市の平和祈念式典の取材中だった。市の男性部長は、8月9日にある式典の最高責任者で、重要な取材対象だった。
その当日も、女性は取材のために部長と会った。そこで性暴力を受け、取材は果たせず、予定していた記事も出せなかった。「侵害されたのは私の体だけじゃない」。報道の自由、人々の知る権利が脅かされた問題だと女性は強調する。
女性はその後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、07年9月から休職した。
女性は08年、市に対して調査と第三者委員会の設置を要求した。だが、市はこれを拒否。09年には、日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済を申し立てた。5年間の調査を経て14年、日弁連が市に謝罪と再発防止策を求める措置勧告を出した。それでも市は受け入れなかったため、19年4月に提訴に踏み切った。
被害があったとされる07年から、裁判に訴えるまで12年。女性は「市に問題の解決を求めてきたが、変わらない姿勢に失望した」と話す。
直接的な被害だけではなかっ…