フリーライターへのセクハラ認定、会社は安全配慮義務違反 東京地裁

編集委員・沢路毅彦
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 美容エステティックサロンの体験記事執筆を依頼されたフリーライターの女性が、サロンの経営者からセクハラを受けたとして慰謝料や未払い報酬の支払いを求めていた裁判の判決が25日、東京地裁であった。平城恭子裁判長は経営者のセクハラ行為を認定し、会社に安全配慮義務違反があったとして、経営者と連帯して約140万円の慰謝料を支払うよう命じる判決を言い渡した。未払い報酬についても原告側の請求をすべて認めた。

 判決では、経営者が女性より優越した立場にあり、女性への言動はセクハラやパワハラにあたると判断した。また、女性が実質的に会社の指揮監督下で労務を提供しており、会社には安全配慮義務があるとした。原告側代理人は「フリーランスへの安全配慮義務違反を認めた画期的な判決」と評価した。

 判決によると、東京・銀座にあるエステサロンの経営者は2019年3月、女性にサロンの体験記事を執筆するよう依頼。経営者は女性の記事を評価し、サロンのホームページに掲載するよう求めた。その後、女性は月額15万円の業務委託契約をサロンと結び、8月から10月中旬までほぼ毎日記事を書いた。しかし、報酬は支払われなかった。

 女性はこの間、施術体験中に下腹部を触られたり、打ち合わせ時にキスを迫られたりするなど、経営者からセクハラ行為を受けた。

 菅野淑子・北海道教育大学教授(労働法)は「フリーランスに対して発注側が優越的地位にあるとしてハラスメントを認めた。雇われた労働者でなくても、実質的には指揮監督関係にあったとして安全配慮義務を認めている点も特徴で、フリーランスの保護につながる判決だ」と評価した。(編集委員・沢路毅彦)

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