障害者の「情報格差」解消へ 国や自治体に責務明記 新法成立
石川友恵
障害があることで日常生活や災害時に必要な情報を得にくい「情報格差」の解消を目指す法律が19日、衆院本会議で全会一致で可決、成立した。すべての障害者が等しく情報を取得できるよう国や自治体が施策を進める責務を明記した。今後、どこまで具体的な対応がとられるかが課題だ。
「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」は超党派の議員連盟が当事者団体へのヒアリングをして作成した。障害に応じて情報を得る手段を選択したり、時間差なく必要な情報を得たりできるように、国に法に基づく対応や財源確保を義務づけた。また、事業者や国民にも協力や理解を深める努力義務を規定した。
背景には障害者が様々な情報格差に直面している現実がある。障害者基本法では2004年の改正で情報利用におけるバリアフリー化を定め、国などが「必要な施策を講じなければならない」とされた。しかし実際には点字や手話、音声などへの対応は遅れている。
新型コロナウイルスのワクチン接種券をめぐっても問題が生じ、視覚障害がある人に点字がない文書が送られた事例が全国各地で相次いだ。選挙公報に点字や拡大文字といった対応がない地域があったり、オンラインの会議やセミナーに字幕がなかったりと、様々な情報格差が残っている。