個人の遺伝情報、生命保険に影響? 遅れるルールづくり、海外では…

有料記事

聞き手・市野塊 市野塊
[PR]

 遺伝情報を使って病気の早期発見や治療につなげる「ゲノム医療」が国内でも進み始めています。しかし、海外の状況に詳しい研究者の間では、日本のルールづくりの遅れを懸念する声もあります。今のままだとどんな問題が起こりうるのか、厚生労働省の部会の委員も務める、早稲田大学の横野恵准教授(医事法)に聞きました。

よこの・めぐむ

早稲田大社会科学総合学術院准教授。専門は医事法。ゲノム医療に関する厚生労働省の部会委員。

 ゲノム情報の医療への活用に期待していますが、何に使えて、何がだめなのかルールが不明確です。このままだと差別的に使われる懸念があります。

 例えば、生命保険の問題が挙げられます。ゲノム情報は、まだ解釈が難しいものもありますが、検査結果から、病気のリスクがあるとして保険料が高額になったり、入れなかったりするおそれがあります。また、ゲノム情報によるリスクを保険会社に知らせなかったとして、支払いを拒否されるおそれもあります。病気予防が目的のひとつでもあるゲノム医療なのに、調べれば保険に入りにくくなれば、発展しなくなるでしょう。

 日本は皆保険制度があり、海外と事情が異なる部分もありますが、公的保険の適用外の治療は、民間保険でカバーすることがあります。保険適用外の治療は高額になりやすく、ゲノム情報のために民間保険に入れないと、経済負担がより増えるおそれがあります。

 海外ではゲノム医療の普及を…

この記事は有料記事です。残り1109文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
市野塊
サンフランシスコ支局
専門・関心分野
気候変動・環境、医療、テクノロジー