ウクライナ侵攻が引き起こす食糧危機 途上国が飢える恐れ、命に直結
世界有数の穀倉地帯として知られるウクライナがロシアによる侵攻を受け、国際的な食糧危機が懸念されています。世界各地にどれほど深刻な影響が出るのか、日本への影響はどうなのか。中東・北アフリカ地域の食糧安全保障に詳しい日本国際問題研究所の井堂有子研究員に話を聞くと、農作物の需給をめぐる構造的な問題も見えてきました。
A-stories ウクライナ危機の深層
ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立を承認し、ロシア軍を進駐させる方針を決めました。プーチン氏の狙いは何か。ウクライナ危機はどうなるのか。世界や日本の有識者に聞きました。
――ウクライナは食糧供給源として、どれほど重要な位置にあるのでしょうか?
ここ数年、世界の小麦輸出はウクライナが9%、ロシアが20%で、2国だけで約3割を占めています。2020年の国連の世界輸出統計では、トウモロコシはウクライナが12%、ロシアが1%、大麦はウクライナとロシアがそれぞれ7~8%、ヒマワリ油はウクライナが53%でロシアが20%と、小麦以外でもかなりのシェアを占めています。
世界に広がる影響
――2月24日からの侵攻で、その量はどれくらい減ることになるのでしょうか?
ロシアからの小麦輸出は大きな変動はないようですが、ウクライナについては現在、様々な推計が出ています。米大手コンサルのマッキンゼーの報告では、この戦争の規模と長期化の状況によりますが、22年のウクライナの小麦やヒマワリ油などの農産物輸出量は1900万~3400万トン減るとしています。さらに23年の予想としては、1千万~4300万トンの間で減ると推計されています。これにより、6千万~1億5千万人相当の食糧供給に影響を及ぼす可能性があると考えられます。
――多くの人が飢えの危機に直面するのですか?
特に、中東とアフリカ地域で…
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