(魂の中小企業)がん経験者も入れる保険を 元パチンカー、目覚める

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 世の中には、さまざまな保険商品があります。どれに入ればいいのか、そもそも入る必要があるのか。判断に迷います。

 ただ、もしアナタががんにかかって手術などの治療で治ったとします。気になるのは、再発です。再発に備えてがん保険に入ろうと思っても……。

 なかなか入れません。5~10年後なら、というケースもあります。

 東京に「MICIN(マイシン)少額短期保険」という会社があります。2020年2月に設立されました。昨年8月から販売しているのは、「乳がん・子宮頸(けい)がん・子宮体がん再発保障保険」。手術から半年たっていれば加入できる保険です。月払い保険料や支払われる給付金と保険金の額など、詳しくは同社のホームページを見ていただければと思います。

 この会社の社長は、笹本晃成(てるしげ)さん、50歳。

 こんかいは、笹本さんのストーリー。がん経験者、いわゆる「がんサバイバー」の不安を取り除きたいと奮闘しているのですが、本人は言います。

 「わたしは、社会からドロップアウトする寸前でした。そして、カネもうけばかり考えていました」

     ◇

 北海道生まれの、大阪育ち。街の中華料理店の息子。将来の夢は、お医者さんになって人を助ける、だった。高校生になって、医者はあきらめた。経済的にムリだから。だったら、何のために勉強する? カネもうけのためや。大阪大の経済学部に入り、家庭教師や高級ホテルの配膳係などをして稼いだ。

 1995年春、大手銀行に入行。笹本は、出世競争をそれなりに勝ち抜いていた。だが、給料はなかなか上がらない。稼ぎたい男にとって苦である。

 10年つとめて、外資系生命保険会社に転職した。契約をとればとるだけ給料は上がるが、契約ゼロだと給料ゼロ。つまり完全歩合制、フルコミッションである。まず、銀行員時代の取引先などに連絡をとる。だが、会ってもくれない。

 「笹本さん。銀行員だったあなただから会っていただけですよ」

 会ってくれる人には、完璧なシミュレーションをして保険商品を提案する。ただ、セールストークは、銀行員時代からの「上から目線」のまま。アナタにぴったりの保険なんだから入れ、みたいな偉そうな感じだった。だからだろう、相手はクビを縦に振らない。

 笹本は、やる気を失っていく。大阪市の繁華街で、朝からパチンコざんまい。契約ゼロなら給料ゼロ。だから預貯金を取り崩していく。カードをつくってはローンをしまくり。だが、カネが尽き果てる。

 途方に暮れた笹本は、数少ない契約してくれそうな人のところに行き、こう言った。

 「契約してください、お願い…

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