「守備固め」のはずが…下馬評覆すカープの背番号0、恩師が見る進化

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辻健治
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 今季のプロ野球、広島東洋カープを象徴する言葉がある。

 「やっちゃろうや!」

 もともとは開幕戦前のミーティングで、佐々岡真司監督が選手の奮起を促すために使ったかけ声だ。

 これを「拝借」し、カープファンの合言葉に広めたのが、今季10年目を迎えた背番号0の内野手・上本崇司(31)だ。

 3月29日、本拠・マツダスタジアム阪神タイガースにサヨナラ勝ち。上本はヒーローインタビューの締めくくりでこう叫んだ。

 「下馬評では多くの人に最下位と言われているみたいですけど、そんなん関係ねえ。やっちゃろうや!」

 開幕前、多くの野球評論家は広島を下位に予想した。主砲として君臨した鈴木誠也大リーグ・カブスへ。その穴は大きいと見られていた。

 鈴木がいなければ勝てない。今季はそんな周囲の見方との戦いでもある。

 それは長く「控え」という固定観念に縛られた上本が、レギュラーをつかみにかかる姿とも重なって見える。

 「小さな体で9年も控えでやってきて、頑張ればチャンスが来るというのは、色々な人に夢を与えられる」

 広島・広陵高で上本を指導した中井哲之監督(59)は、しみじみと言った。

 170センチ、73キロの上…

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