本格的に紫外線が気になる季節がやってきた。化粧品会社の美白商戦にもいっそう力が入る頃だ。ところが近年は、「美白」という言葉が以前のようにすんなりと使えなくなってきている。人種差別に抗議するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が日本でも知られるようになった2020年を境に、「白」を称揚する表現は避けた方がよいのではないかと考えられるようになったのだ。
化粧品会社によって対応は分かれるが、ホワイトニング、美白という表記をやめ、ブライトニングに変えたところもある。美容雑誌もそれに倣い、以前ほど「白肌」一色ではなくなっているようだ。
日本人の白肌信仰はもちろん、今に始まったことではない。古くは平安時代の貴族たちに端を発し、江戸時代後期には一般庶民にも広まった。当時の美容指南書である『都風俗化粧伝』によれば、「色の白きは七難隠す」という諺(ことわざ)通り、肌の色が白いことが美人の第一条件とされていたのである。
そう考えると、日本人の白肌…