知床海難事故、会津若松の男性死亡 元同僚「信じられない…」

滝口信之 酒本友紀子
[PR]

 北海道・知床半島沖で行方不明になった観光船「KAZUⅠ(カズワン)」には、会津若松市の小池駿介さん(28)が乗っていた。福島県内外でスーパー約70店を展開する「リオン・ドールコーポレーション」(会津若松市)社長の息子で、2019年から取締役を務めていた。突然の悲報に「信じられない」と声があがった。

 県立会津高校の同級生男性(28)によると、小池さんはサッカー部に所属し、ムードメーカーだった。英語は学年一の実力だったという。「交友関係が広く、皆から好かれる存在だった」

 小池さんが以前勤めていた東京都内の総合人材サービス会社の同僚らによると、小池さんは慶応大学を卒業後に入社し、転職希望者のカウンセリングを担当していた。真面目な性格で誠実な対応が顧客から信頼され、同僚の相談にも親身に応じていた。同期の女性(27)は「自分を持っている人で、頼れる存在だった」と話す。

 数年前には小池さんが会津地方の別荘に同期ら約20人を招待。スノーボードを楽しみ、スーパーも案内した。同期だった男性(27)も小池さんら職場の仲間数人で山梨県にキャンプに行った。「恋愛の話で盛り上がった」と振り返る。小池さんはこのキャンプをきっかけにキャンプグッズを集め始め、趣味にしていたという。

 小池さんは数年前、家業を継ぐため退社した。その際に同期には、自分が好きなウイスキーを学ぶために本場のスコットランドに行くと話し、「自社ブランドを出したい」と夢を語っていたという。

 男性は「家業を継ぎ、色々やりたいことがあると話していた。いまだに信じられない……」と言葉を失った。女性は「二度と会えないなんて思わなかった。もっと連絡を取り合っていたら」と後悔を口にした。「結婚を約束した女性もいた。将来ある人の命が奪われ、本当に残念です」と言葉を絞り出した。(滝口信之、酒本友紀子)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません