こだわった肩書を捨てた阪神・原口文仁 筆ペンで記した決意の4文字

有料記事阪神タイガース

大坂尚子
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 今年2月、阪神タイガースの2軍キャンプ地の高知・安芸。若い選手たちに交じって、大粒の汗を流してボールを追う背番号94がいた。

 プロ13年目の原口文仁(ふみひと)は、長くこだわってきた捕手の肩書を捨てた。今季から登録は内野手で、外野にも取り組む。

 「野球人生を考えた時、あとどのくらいプレーできるかわからない。だからこそ、試合に出る確率を上げたかった」

 悲壮感はない。口調は弾んでいた。

 安芸では午前中の全体練習で三塁の守備についたと思えば、午後の個別練習では外野へ。右へ左へ、全力で打球に飛びついた。

 「捕手と見る景色が正反対。距離も遠いし、打球の(見える)感覚も違う」

 「今までバッテリーで打たせて、野手が処理していた。今度はこっちが処理する側になる。プレッシャーはかかりますね」

 強打の捕手。それが原口のアイデンティティーだった。金本知憲・前監督時代の2017年、チーム事情から一塁手を任されたこともあったが、登録は一貫して捕手だった。

 一つしかないポジションで、同学年の梅野隆太郎が球界を代表する捕手になった。守備に定評のある坂本誠志郎もいる。近年、原口の立ち位置は「第3の捕手」に落ち着きつつあった

 他の2人に不測の事態があった場合に備え、ベンチで控えているのが役割といえなくもなかった。

 原口は昨季、56試合の出場で打率2割4厘、3打点、0本塁打。6月9日の日本ハム戦(札幌)の九回2死から代打で決勝打を放ち、健在ぶりをアピールしたが、一年を通じてスタメン出場はなかった。

 新たな挑戦。矢野燿大監督らも後押しをしてくれた。「プロ野球という最高の舞台で、新しいことに挑戦できる人は限られている。本当にありがたいし、思いっきり楽しみたい」

ガンとの闘病も経験した原口選手。「やれる」と信じ、様々な挑戦を続けてきました。筆ペンでしたためた4文字にも、原口選手らしさがあふれていました

 3月で30歳になった。アス…

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