体動かなかった「あの日」の後悔 宝塚線脱線事故、それぞれの祈り

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中野晃 黒田早織 矢島大輔 中塚久美子
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 【兵庫】107人が死亡、562人が負傷したJR宝塚線(福知山線)脱線事故は、25日で17年を迎えた。風化も懸念されるなか、遺族や関係者らはそれぞれの形で犠牲者を悼み、安全を願った。

 JR宝塚線(福知山線)の脱線事故から17年となった25日、107人の犠牲者を慰霊し、被害者や遺族に癒やしを届けようというイベントが伊丹市であった。事故で大けがをした市内の犬のトリマー、増田和代さん(52)らが企画した。

 JR伊丹駅前の「フランドルの鐘」では事故発生時刻の午前9時18分、伊丹市民で犠牲になった人の数に合わせて18回鐘が鳴らされ、参加者が黙禱(もくとう)した。

 市立演劇ホール「アイホール」では、ストリートピアノの演奏で動画投稿サイト「YouTube」などで人気のピアニスト、スミワタルさんのコンサートがあった。スミさんは「事故の時、僕は中学校1年生ぐらい。ニュースで映像を見て、こんなことが現実なんだと衝撃を受けたのを覚えています。事故を知らない人も増え、風化させないようにしないとと感じます」とあいさつした。

 会場に飾られた風船には来場者らが「決して忘れません」「見守って下さい」などのメッセージを記した。増田さんや運営メンバーらが猪名川河川敷で空に飛ばした。

 増田さんの相談に応じ、写経をすすめるなど交流を続ける尼崎市の道心寺住職、露(つゆ)の団姫(まるこ)さん(35)は「事故を繰り返さぬよう、安全について人間が過信しないためにも毎年の祈りの場が大切です」と語った。

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この記事を書いた人
黒田早織
東京社会部|東京地裁・高裁担当
専門・関心分野
司法、在日外国人、ジェンダー、精神医療・ケア