東電まずは海底から 処理水海洋放出の準備工事開始へ

笠井哲也
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 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について東電は22日、処理水を通す海底トンネルの設置に向けた事前工事を25日から始めると発表した。浮きの設置や海底面の掘削作業などで、これだけだと設備の新設や増設にはあたらず、福島県や立地自治体の「事前了解」は不要という。放出に向けた地ならしが進む。

 東電によると、第一原発の敷地内では立て坑をつくっており、計画では、立て坑からトンネル(直径約2・5メートル)を横に掘り、沖合1キロの海底に設けた放水口から処理水を流す。来年春の放出開始をめざしている。

 25日からは、作業区域を示すための浮き4基や、作業船を係留するためのブロックなどを設置する。この作業は3日程度で終え、その後は海底に鉄筋コンクリート製の箱形をした放水口を設置するため、海底面を深さ10メートル以上にわたって掘削し、捨て石を入れて接地面を平らにする。全ての作業は、8月中旬をめどに終えるとしている。

 東電は昨年8月、1キロ沖からの放出計画を発表。11月からはトンネル設置に向けた地質調査などをして工事ができることを確認したという。

 今後、トンネルや放水口本体など設備の新設には県と立地2町の事前了解が必要となる。東電は12月20日に3者へ事前了解願を出したが、いずれも回答していない。内堀雅雄知事は「専門家の意見を伺い、計画の安全面について丁寧に確認していく」としている。(笠井哲也)

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