【そもそも解説】置き換わり進むBA.2、その特徴は XEって何?

有料記事そもそも解説

編集委員・田村建二
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 新型コロナウイルスオミクロン株の勢いは、世界全体としては収まる傾向にある一方、日本では再び感染者が増加する地域もあります。最近は「BA.2」の割合が増え、世界の多くの地域でオミクロン株の主流となりました。「XE」など、これまであまり知られていなかったタイプも出現しています。オミクロン株について新たに分かってきたこと、分かっていないことをQ&A形式でまとめました。

 Q 「BA.2」とは?

 A 同じオミクロン株の中で、いくつかに分かれる系統のうちの一つだ。

 オミクロン株は現在、ウイルスの遺伝子の細かい違いによって、「BA.1」「BA.1.1」「BA.2」「BA.3」「BA.4」「BA.5」といった系統に分かれている。

 世界保健機関(WHO)の報告などによると、世界で検出されている新型コロナウイルスの総数は、このところ減少傾向にある。ただその中で、BA.2系統は増えてきていて、すでにオミクロン株全体のうち90%以上を占めているとみられる。

 例えば、BA.2系統の広がりが早い段階から報告されていたデンマークでは、3月以降、新型コロナ全体の99%をBA.2系統が占めた。

 日本でもBA.2系統の割合は高まっている。厚生労働省に対策を助言する専門家組織(アドバイザリーボード)は4月20日、BA.2系統への置き換わりが全国で約8割まで進んでいるとの見方を示した。5月1日段階では98%を占めることになると予想している。

「世代時間」、さらに短く

 Q 日本で感染拡大が収まりきらないのはBA.2のせい?

 A BA.2系統はオミクロン株の中でも感染力が高いとされ、BA.1などからの置き換わりが進んでいる。このことが、大きな要因の一つと推定されている。

 そもそもオミクロン株は、1人目の発症から2人目が発症するまでの時間が短いとされていて、感染者が急速に広がる理由の一つと言われてきた。

 北海道大などの研究チームは、この「世代時間」がBA.2系統ではBA.1系統よりも15%短いとする検討結果を発表した。ウイルスの広がる勢いを示す指標の一つ「実効再生産数」は、BA.2系統はBA.1系統よりも26%高いとしている。

 デンマークでは当初、オミクロン株による感染拡大が1月末から2月上旬にかけてピークを迎えると予測されていて、実際に1月末には新規感染者の減少がみられた。ところが2月初旬から中ごろにかけて感染者は再び増加した。

 すでに主流となっていたBA.2系統の影響が考えられている。現在はデンマークでの感染者数は減っている。

 英国では4月半ばにかけて、新型コロナに伴う死亡者の増加がみられた。これについて、アドバイザリーボードは4月13日、「BA.2系統への置き換わりが進み、感染の拡大に伴って重症者・死亡者が増加に転じた」例として指摘した。

 国内では最近、感染者の減少傾向が止まってしまったり、再び増加に転じてこれまでのピークを越えたりしている地域が出た。こうしたことには、ウイルスのBA.2系統への置き換わりが関係しているとみられる。ただ、年度末のために人と人との接触機会が増えたといった、別の要因も関わっていることが考えられる。

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 Q BA.2はほかにどんな特徴を持っている?

 A そもそもオミクロン株は…

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