第2回朝青龍は怖いし、部屋は消滅…土俵際の元高見盛がつくった「逃げ道」

有料記事

構成・鈴木健輔

 大相撲の元小結高見盛(45)=現東関親方=と言えば、立ち合い前の独特なルーティン。

 大量の塩をまき、胸や顔をパチンパチンたたいて、ほえる。

 ギクシャクした動きから「ロボコップ」とも親しまれた。

 怖さをごまかすための策だった。

     ◇

 〈日本大学時代にアマチュア横綱となり、鳴り物入りで角界入りしたのが1999年春場所。スピード出世し、幕内2場所目だった翌年秋場所で、右ひざの靱帯(じんたい)を断裂した。長期休場とリハビリを経て、1年半かけ、幕内に戻ってきた〉

 取組前のルーティンを始めたのは、右ひざを大けがした後。恐怖心を取っ払えないかと思ったんです。

 十両優勝して、再入幕しました。少しは自信がわいていたんですが、やっぱり土俵に立つのが怖かった。

 ゾワッと来るんです。

 最後の仕切り前、行司さんの言葉を聞くときです。

 「時間いっぱいです」

 右足が自分のものじゃないと…

この記事は有料記事です。残り1866文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2022年4月29日11時16分 投稿
    【視点】

    高見盛と言えば、同じ日大の田宮(琴光喜)と並んで、僕が学生相撲をやっていた頃のスター選手だ。アマチュア相撲の世界で言えば、超エリートと言えるし、大相撲に入ってからも活躍した力士だ。 そんなスター選手も、内心は外から見えるそれとはかけ離

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2022年4月30日13時38分 投稿
    【解説】

    この記事を読み、ふと現役時代を思い出しました。 大学で4年生の時に右肩を脱臼したのですが、それ以降、タックルするときにはいつも「恐怖」を感じるようになりました。手術を終え、十分にリハビリをし、医者からゴーサインが出ていても、一度記憶に

    …続きを読む