第3回「キーウ」への変更、異例の早さに驚いた 日本語学者が感じた違和感
「キエフ」から「キーウ」に変更されたウクライナの首都の呼称。日本語史、日本語学が専門の間淵洋子・和洋女子大准教授は、政府の対応を支持する一方、従来は詳細な調査や議論を重ねた上で地名表記や言葉の変更をおこなってきたとし、「今回の対応はあまりに早く、日本語の歴史からすると異例で驚いた」といいます。
――単独で「キエフ」と書く表記は、テレビでも新聞でも見なくなりました。
国が変更する前から一部の放送局が独自で「キーウ」を使い始めていましたが、政府の呼称変更で報道各社も「キーウ」にがらっと変えました。日本の言語政策は従来、急な変更で問題が生じないかなど、比較的じっくりと調査したり、問題が無さそうだと担保したりしてから変更するのが通例なので、今回は急で驚きました。
「政治一発」という印象
――2015年に「グルジア」が「ジョージア」に変わりました。その時とも違いますか。
米国にジョージア州があり、同じ表記だとして議論がありました。ただ、地理的にだいぶ離れていて、文脈的にも誤解が起きることはないだろうと、ジョージアが採用されました。一方で今回は、国としての姿勢を見せるという意味合いがすごく強く、スピーディーな対応になったのだと思います。
――日本では広く使われてきた「チェルノブイリ」も「チョルノービリ」と改めました。なぜ異例の対応になったのでしょうか。
今まさにひどい戦争が起きて…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら