吉本の「半分」を支えた桂文枝 「記録保持者」が自負する天才の戦略

有料記事

編集委員・後藤洋平
[PR]

 吉本興業の創業110周年を記念した公演「伝説の一日」が2日に始まった。午前8時30分、大阪・なんばグランド花月(NGK)での特別記念公演の口上を務めたのは落語家桂文枝(78)。吉本の歴史のちょうど半分となる芸歴55年の大看板だ。舞台を終えた後に朝日新聞の単独インタビューに応じ、売れ始めた若手時代に「すぐ消える」と言われながら、どう芸能界で生き残ったのか、「僕もそうだけど、世代交代が必要」という吉本の今後など、半生を振り返りながら思いを語った。

 出番を終えたばかりの文枝の両手の爪は、マニキュアが施されたように光っていた。「僕らの時代の芸人は、舞台でお客様に非日常の世界を見せることにこだわり続けているんです。爪をきれいにすることは、横山やすしさんに教わりました」

 小指の爪には星のモチーフが描かれていた。「昨年、母も妻も亡くしましてね……。2人とも星になったんやな、と。ただ、しょぼくれてると思われたくないから、おしゃれするためにたくさん服をあつらえました」

 舞台では女性にめっぽう弱い「情けない男」を演じる天才だ。創作落語「妻の旅行」「文句の叫び」では恐妻家の夫が主人公。2日の舞台でも、大阪駅前でファンの女性にサインを求められて応じたところ、その友人には「私はいらん」と言われて落ち込んだというネタを披露した。

 もちろん、実像とはかけ離れ…

この記事は有料記事です。残り1291文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら