大阪と東京つなぐ維新の「中間管理職」 松井氏の「野生の勘」国政に
愛する大阪を離れ、東京に「赴任」したのは10年前。大阪本社からの「指令」はいつも突然に降ってくる。肩書こそ共同代表だが、中間管理職のような役回りに徹する日々だ。
「代表の言っていることが全てです。再稼働できる原発は、早期に稼働する準備が必要なんです」
東京に季節遅れの小雪が舞った3月22日、政府が初めて「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を出して節電を呼びかけていた。国会内で日本維新の会の馬場伸幸共同代表(57)は記者会見し、大阪市長を務める松井一郎代表(58)の発言を引き合いにしながら「原発再稼働」の必要性を訴えた。ウクライナ情勢を背景に、維新は「タブー視せずに安全基準を満たした原発は使うべきだ」と原発再稼働を盛り込んだ「経済対策」の検討を政府に求めている。
維新が原発再稼働で発信を強める発端は11日、松井氏が大阪で定例の記者団の取材に答えた「動かせる原発は夏に向けて全て動かす判断をしてほしい」との一言だった。
松井氏の発言を東京で伝え聞いた馬場氏は「指令」と受け止め、政策担当の衆院議員に原発再稼働の政府への「提言づくり」を命じた。直前の2月末には、松井氏が「核を持っている国が戦争を仕掛けている」と発言。米国との「核共有」議論の必要性に突然言及したときも、被爆者団体などの批判を浴びつつも東京で提言をまとめ、政府に提出したばかりだ。
指令を待つだけではない。3月の石川県知事選は、自民党の安倍晋三元首相(67)の派閥出身の馳浩氏(60)が立候補し、保守分裂三つどもえの構図となった。
国会議員には主導権なし
安倍氏とは、維新が国政進出…
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- 【視点】
維新の創業者である橋下徹氏が2018年に出した著書「政権奪取論」を読み返すと、維新は新しい野党をめざしてつくられたのだということがよくわかります。そこでは、旧民主党OBには枝野幸男氏や岡田克也氏、前原誠司氏、野田佳彦氏といった「大きな経験を
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