円安でもやめられない 異例の金利抑制策の本当の理由

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徳島慎也
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 日本銀行は29日、複数日にわたり、利回りを指定して国債を無制限に買い入れる「連続指し値オペ」を始めた。連続オペは初めてで31日まで続ける。無理やり長期金利を抑え込む異例の対応は、さらなる円安を招きかねないが、日銀はあくまで景気の下支えを優先する構えだ。だが、9年に及ぶ大規模緩和の効果が薄いまま、ツケだけがたまり、やめるにやめられなくなっているという指摘もある。

初の「連続指し値オペ」

 日銀を異例の対応に追い込んでいるのは、長期金利の上昇だ。日銀は金利を低く抑えてお金を借りやすくすることで景気を支えようと、長期金利の上限を「0・25%程度」に抑えることにしている。しかし、米国が今月利上げを始めたことで、米国の金利上昇につられる形で、日本でも金利が上がりやすくなっている。

 日銀は29日午前10時過ぎ、長期金利の指標となる10年物国債の利回りを0・25%に指定し、無制限に買い入れると市場に通知。これに対し、約2400億円の応札があったという。

 だが、市場での利回りは大きく下がらず、0・245%という高水準で推移した。日銀は昼過ぎ、この日2回目の指し値オペを通知。約2800億円の応札があったが、それでも利回りは大きく下落しなかった。

 なかなか金利が下がらないのは、日銀が金利を抑え込む方針をどこかで変えるのではないか、という見方が市場にくすぶり続けているからだ。外国為替市場では、金利が高いドルを買い、金利が低い円を売る動きが強まり、円安が加速している。急激な為替の変動に経済界からも懸念の声が上がっているため、何らかの手を打ってくるのでは、という観測が消えない。

 しかし、実際には、日銀には金利の抑え込みに動きたくても動けない事情がある。

 ひとつは、黒田東彦(はるひ…

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