対中ODAが今月末で終了 「日本の支援、中国で知られず」批判も

北京=高田正幸
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 40年以上にわたって中国に供与されてきた日本政府の途上国援助(ODA)の全ての事業が、3月末に終了します。ODAは中国の発展を支えて日中の結びつきを強めた半面、援助を続ける必要性や、中国側の情報公開などをめぐって批判も受けてきました。

 日本の対中ODAは1979年に始まりました。中国が戦後賠償を放棄した見返り、との性質もあったとされます。

 国際協力機構(JICA)によると、ODAのうち、無償でお金を提供する「無償資金協力」は約1600億円、お金を貸す「円借款」は約3兆3千億円、「技術支援」の約1900億円で、計3兆6千億円余りを支援してきました。

 援助の内容は、初期は港湾や発電施設などインフラ支援が主で、その後は地下鉄建設や内陸部貧困解消、環境対策など、時代が進むにつれて変わっていきました。

 しかし、中国が急速な経済発展を遂げ、国防費も多額になっていきました。さらに日本から援助を受けている中国が、他の途上国に戦略的な支援を行うようになりました。

 日本ではこうしたことへの警戒心に加えて、「日本の支援であることが中国の市民に知られていない」といった懸念も強まっていきました。

 ODAに携わったことがある元外交官の一人は、「ODAでつくられたことであることを示すプレートが外されたこともあり、中国が『隠している』と言われても仕方がない対応をとってきた経緯がある」と明かします。

 こうした状況から、日本政府はODAが「役割を終えた」と判断。無償資金協力は06年、円借款は07年の時点でそれぞれ新規供与を終えています。そして、技術支援で継続していた事業も、3月末で完全に終了します。(北京=高田正幸)

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