「ルノーはロシアから撤退を」 ゼレンスキー氏、フランス国会で演説
パリ=疋田多揚
ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、フランスの国民議会(下院)でオンライン形式で演説し、ロシアで事業を続けているフランス企業に対し、「ロシア軍による殺人に資金を供給する」ことになるとして、撤退するよう訴えた。ゼレンスキー氏は、フランス政府が出資している自動車大手ルノーなどの社名を挙げ、撤退してロシアに圧力をかけるよう要求。同社は同日、モスクワ工場の無期限停止を決めた。
ゼレンスキー氏は演説で、24日でロシアの侵攻から1カ月となることに触れ、この間に病院や学校が爆撃されたことから「ロシア軍には戦争犯罪という概念がない」と批判。その例として、南東部マリウポリで産科病院が爆撃され、妊婦が胎児とともに亡くなったことを挙げた。ゼレンスキー氏によると、骨盤を負傷した妊婦は胎児が死亡したと知って絶望し、「生きる理由がない。死なせてほしい」と医師に告げたという。
また、ゼレンスキー氏はロシア軍の「区別のない攻撃」でウクライナ国土が荒廃した様を、「ベルダンのようになっている」と強調した。第1次世界大戦時の攻防戦で、約70万人の死傷者が出たフランスの激戦地の名を挙げて連帯を訴えた形だ。