夫婦同姓訴訟、最高裁判事5人中2人は「違憲」と指摘 賠償は認めず

阿部峻介
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 夫婦別姓を認めない民法などの規定によって法律上の婚姻ができず精神的苦痛を負ったとして、事実婚の計7人が国に賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は原告側の上告を退けた。賠償を認めない結論は最高裁判事5人の全員一致だが、うち2人は規定を「違憲」とした。22日付の決定。

 原告は別々の名字でパートナーと結婚することを望む東京都内の6人と、広島市の医師・恩地いづみさん。夫婦同姓を定めた民法750条と、婚姻届の手続きを定めた戸籍法74条1号が壁となって「夫妻という社会的な承認」を得られず、税の軽減なども受けられないと訴えた。

 第三小法廷は、賠償の請求について「上告理由に当たらない」とだけ判断。原告敗訴とした東京訴訟、広島訴訟の一、二審判決をそれぞれ確定させた。弁護士出身の渡辺恵理子裁判官と学者出身の宇賀克也裁判官は、両規定が「婚姻の自由」を定めた憲法24条に反すると指摘しつつ、賠償を認めるほどの「国会の立法の不作為」までは認められないと判断した。

 夫婦同姓をめぐっては、最高裁の裁判官15人がそろう大法廷が昨年6月、事実婚のカップルが規定の違憲性を訴え別姓での婚姻届を受理するよう求めた家事審判で、合憲(合憲11人、違憲4人)と判断している。(阿部峻介)

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