肥薩線、復旧費用230億円 JR九州が試算
伊藤秀樹
2020年7月の記録的豪雨で被災し、総延長124・2キロの7割近い八代(熊本)―吉松(鹿児島)間の86・8キロで運休が続くJR肥薩線について、JR九州が復旧費用を約230億円と試算したことが分かった。国土交通省や熊本県は22日に復旧方法や、復旧後の赤字路線を支える経営支援について協議を始める。
肥薩線は豪雨で橋梁(きょうりょう)2本が流され、約450カ所で被害が確認された。関係者によると、鉄道復旧に要する費用は流失した2本の鉄橋が各60億円、鉄路などが110億円。
蒲島郁夫知事は今月2日の県議会で「豪雨で大きな被害を受けた後、JR九州に対して機会があるたびに鉄道路線として復旧してほしいと伝えてきた」と述べた。県は観光や通勤、通学で利用される肥薩線は、人吉・球磨地域が存続していくための重要な基盤と位置づけている。
JR九州が鉄道復旧を図る場合、県はJRの負担削減が不可欠として、復旧費用の半分を国と地方自治体が負担すると定めた改正鉄道軌道整備法の活用をめざす。肥薩線は豪雨前の19年度の営業赤字が八代―吉松間だけで約9億円に上っており、経営支援に関する補助制度の創設も検討する。
熊本、鹿児島、宮崎3県の沿線16自治体でつくる「肥薩線利用促進・魅力発信協議会」(会長=松岡隼人・人吉市長)は2月、鉄道での復旧などをJR九州に要望している…