形のない「アイデア」めぐり公判5年弱 情報漏洩事件、司法判断は

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山下寛久
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 ホワイトボードを使って説明した情報は「営業秘密」だったか否か。そんな争点の公判の判決が18日に名古屋地裁で言い渡される。不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪に問われた被告側は、「情報は汎用(はんよう)技術で、営業秘密ではない」と無罪を主張。公判は5年近くに及んだ。紙の資料や電子データの持ち出しなどと異なり、形のない「アイデア」を対象にした裁判の難しさが浮かぶ。

 トヨタ自動車系大手「愛知製鋼」(愛知県東海市)元役員の本蔵義信被告(71)と元社員の菊池永喜被告(68)は2013年4月、他社の従業員に、愛知製鋼の営業秘密をホワイトボードに書いて説明し、漏洩(ろうえい)したとして17年3月に起訴された。検察側は昨年12月、本蔵被告に懲役3年罰金200万円、菊池被告に懲役2年罰金100万円を求刑した。

 公判では、ホワイトボードを使った説明の中身をめぐり、検察側と弁護側が鋭く対立した。

 検察側は起訴状で「装置の機能及び構造、工程に関する技術上の情報」としたが、弁護側が明確に示すよう要請。初公判から第2回公判まで約2年間、関係者による非公開の手続きを経て、基板に複数本の極小のワイヤを自動で張る7段階の製造工程に関する情報だとした。検察側は「様々な方法から最適なものを選び、組み合わせた一連一体の技術情報」とも主張している。

 この工程は、スマートフォンの電子コンパスなどに使われる高性能磁気センサー(MIセンサ)の量産につながるという。MIセンサの開発を主導した本蔵被告は10年に同社専務になり、事件当時は技術指導をする技監。菊池被告は磁気センサーの開発・製造業務を管理する部長だった。

 弁護側は、検察側が証拠提出…

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