「第6波」なぜ感染者減りにくい?今までの対策が通じない3つの理由

有料記事オミクロン株

聞き手・市野塊
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 新型コロナウイルスオミクロン株の流行による「第6波」は2月上旬にはピークを越えたとみられていますが、東京都ではいまも連日1万人近い感染者が出ています。感染者数の下げ止まりも指摘され、次の感染再拡大につながるおそれも懸念されています。そんな中、厚生労働省クラスター対策班参与でもある古瀬祐気医師は、数理モデルを使った第6波の分析結果を自身のツイッターで公表(https://onl.la/LrgQMiN別ウインドウで開きます)しました。なぜ減らないのか話を聞きました。

「第6波」でこれまでと異なる特徴

 ――オミクロン株が流行する第6波の特徴はどのようなものでしょうか。

 まず、感染者に占める子どもの割合が多いこと、ワクチンの効果が弱まっていることが挙げられます。

 ――全感染者に占める20歳未満の子どもの割合は、昨年4月には1割程度でしたが、オミクロン株流行下の直近では3割以上です。ワクチンの効果も弱くなると言われ、追加接種の前倒しを求める声も強まりました。ほかにはありますか。

 それから、「世代時間」が短いこともあげられます。

 ――別の人に感染させるまでの期間を意味する「世代時間」はデルタ株の4・6日に対し、オミクロン株は2・1日と推計されています。この世代時間が短いとはどういう意味を持つのでしょうか。

 例えば、感染者が4日ごとに2倍、2倍、2倍となるのに対し、2日ごとに2倍、2倍、2倍だと、より急速に広がっていきます。一方、減る時も0・5倍、0・5倍、0・5倍になる場合、4日ごとよりも2日ごとの方が、感染者数はより少なくなっていきます。

南アフリカでは急減

 ――大きく変化しやすいということですね。そうすると、世代時間が短いと感染者が急に減る可能性がありそうです。実際に、オミクロン株が最初に報告された南アフリカでは、感染が急拡大した後に急減しました。日本では、なぜ減少が緩やかなのでしょうか。

 オミクロン株とデルタ株の違いが世代時間の短さだけであれば理論上は急速に減ります。しかし、現実にはワクチン効果の減弱など、ほかの感染を押し上げる要素もあって、対策の効果が下がってしまうこともあります。

 南アフリカでは、オミクロン株の波が来る直前ぐらいに、人口の半分ぐらいの人が、それ以前の株に感染していた可能性があることが論文で発表されています。これにオミクロン株の波とワクチン接種で一時的に集団免疫のような状態になり、感染者が急に減ったのかもしれません。

 ほかの国でも結構な人数が感染しているところはあります。それでも南アフリカほどではなく集団免疫のような状態には達していないために、日本を含め多くの国で減りが鈍くなっているのかなと思います。

これまでの対策の効果を分析

 ――古瀬さんが公開した数理モデルの分析はどのようなものでしょうか。

 いまの新型コロナ対策による…

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