法隆寺金堂壁画、寺は「今年も限定公開」の意向

編集委員・中村俊介
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 世界遺産法隆寺奈良県斑鳩町)は12日、昨秋に続いて今年も、焼損した金堂壁画の限定公開をめざす意向を示した。同日開かれた金堂壁画保存活用委員会で明らかにした。「東アジア仏教美術の至宝」にふれる機会が、再び実現しそうだ。

 金堂壁画は1949年の火災で焼損し、境内の収蔵庫で保管されている。同寺は2015年、文化庁と朝日新聞社の協力で、金堂壁画保存活用委員会(委員長=有賀祥隆・東京芸術大客員教授)を設け、将来の一般公開をめざし、専門家によるワーキンググループ(WG)で調査研究を重ねてきた。昨年は見学希望者をクラウドファンディングで募り、人数を絞った形で11月に限定公開を実施。35都道府県から481人が参加し、1994年以来の大規模な公開となった。

 委員会では保存環境WGが、公開時に収蔵庫内の温湿度や二酸化炭素濃度などの変化はさほど見られず、安定した状態だったことを報告。これを受けて、同寺の古谷正覚(しょうかく)管長は「一般公開に向けたデータ収集も兼ねて、(限定公開を)今年も行いたい」と語った。

 昨年は天候などにめぐまれたため、もっと広い条件でのデータがほしいとの意見も委員から寄せられ、開催時期や実施期間、見学者数を増やすかどうかなどはこれから詰める予定だ。

 委員会は今後、人数の上限や必要な設備など、どのような条件がそろえば一般公開に踏み切れるのか、最終的な結論を出したいとしている。(編集委員・中村俊介

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