チェルノブイリ電源喪失、IAEA「深い懸念」 十分な冷却水は確保

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パリ=疋田多揚
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 ロシア軍に占拠されたウクライナチェルノブイリ原子力発電所への電力供給が途絶えている問題で、国際原子力機関(IAEA)は9日、声明を出し、「深い懸念」を表明したうえで、「安全に重大な影響は与えない」と指摘した。理由として、使用済み核燃料を冷却するのに十分な量の水がプールに確保されていることを挙げている。

 仏紙ルモンドによると、同原発では2万本の使用済み核燃料がプールで冷却されている。核燃料は使用後も発熱するが、時間が経つにつれ発熱量は減る。チェルノブイリ原発事故は1986年に起きており、電気に頼らなくても水だけで冷却できる状態とみられるという。

 ただ、IAEAは、現地で210人の専門職員らが2週間、交代もなく昼夜働き続けていると指摘。電源喪失は職員の大きな負担となり、安全管理をいっそう難しくすると警告している。

 IAEAはまた、ウクライナ…

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    副島英樹
    (朝日新聞編集委員=核問題、国際関係)
    2022年3月10日12時44分 投稿
    【視点】

    チェルノブイリ原発の電源喪失のニュースは、改めて原発に内在する危険性を突きつけています。IAEAは十分な冷却水が確保されているので差し迫った危機ではないとしていますが、記事にあるように、IAEAは、現地で210人の専門職員らが2週間、交代も

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