第4回「僕、ゲイなんだ」打ち明けてくれた彼との結婚 息子は1歳になった
子どもを産み育てることは、性的指向や性自認にかかわらず、誰もが持つ選択肢だ。だが、性的マイノリティーの人たちの中には、様々な葛藤を抱えたり、批判を受けたりする人も少なくない。
「実は僕、ゲイなんだ」
関東地方の30代の女性は5年前、職場の四つ下の後輩とのデートの帰り道、こう切り出された。
細やかな気配りに好感を抱き、女性から誘った。半年間、ほぼ毎日連絡をとり、食事や映画にも出かけたが、関係が発展しない。自分から気持ちを伝えるべきか、悩んでいた。
彼は続けた。「女性と結婚し、一緒に子どもを育てたい。結婚を前提に付き合ってくれませんか?」
性的マイノリティーの当事者に告白されたのは初めて。驚いたが、好きな気持ちは変わらない。「苦労するのは彼の方なのかも」と思った。女性も彼と家庭を築きたかった。付き合うことを決めた。
男性にとっては葛藤の末だった。性的指向を自覚したのは小学校高学年の頃。運動も勉強もできる同級生の男子に、友達以上の感情を抱いた。女子に対しては持ったことがない気持ちだった。以来、信頼できる友人には隠さずに過ごしてきた。男性との交際経験もあり、社会とは折り合いをつけて生活してきた。
だが、将来には不安があった。身近なゲイの知人には、長年、同じパートナーといる人が少なかったからだ。同性婚が認められていない日本で、「同性パートナーと家庭を持って幸せになれるのか」
子どもを育ててみたい思いも…