アワビの漁獲量激減、あまさん「一個も取れない」 原因は「磯焼け」

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臼井昭仁

 三重県志摩市でアワビやサザエなどの漁獲量が激減している。すみかで餌にもなっている海藻がなくなる「磯焼け」が原因で、市は今年度、海藻を食べるガンガゼやブダイといった生物の駆除に乗り出した。想定以上の数にのぼり、沿岸部で非常に増えていることがわかった。

 「(水深)10メートルまで潜ったが、アワビは1個も見つからなかった。こんなことは初めて。生活ができない」。志摩市大王町船越の海士(あま)、寺田勝さん(62)は先月、漁場へ潜った際の様子をこう語った。

 寺田さんによると、アワビの不漁は以前にもあった。その時でも岩場に海藻は見られたが、今は磯焼けで何も生えていない状態だという。海藻の成長を妨げるサンゴ藻が見られるだけという。「駆除は重要で、藻場の再生にまでつなげないと。ただ元のように戻るには相当な時間がかかるのではないか」と危惧している。

 市水産課によると昨年、市沿岸でのアワビの水揚げ量は6トンと、前年の2020年の14トンから大幅に減った。それ以前は17年の46トンなど平均20~30トンの水揚げがあった。サザエも同様で昨年は80トン。前年の203トンの4割程度にまで落ち込んだ。海藻もアラメが同17トン(前年24トン)、テングサは0・9トン(前年2トン)となっている。もともと減少傾向にはあったがこの3、4年が特にひどいという。

 水産庁などによると、磯焼けは太平洋側南部を中心に沿岸で広くみられる。食害のほか、温暖化、貧栄養化、黒潮の大蛇行など様々な理由が考えられる。

 志摩市ではまず今年度、海藻…

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この記事を書いた人
臼井昭仁
半田支局長
専門・関心分野
農林水産業、運輸、過疎問題