諫早湾干拓 金子農水相が漁業者らと意見交換

寿柳聡
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 二枚貝の不漁やノリの色落ちなどにあえぐ有明海の漁業を巡り、金子原二郎農林水産相が5日、佐賀県太良町で漁協幹部や山口祥義知事と意見交換した。佐賀県側は原因究明につながるとして国営諫早湾干拓事業の堤防排水門の開門を求める立場。漁協幹部らは口々に早期の原因究明と対策を求めた。金子農水相は開門を否定する国の考えを踏まえ、「特措法を含めた予算を使い、有明海再生のため一緒になって(海底耕運などの対策を)頑張っていきたい」と述べた。

 有明海では今年、佐賀県西南部のノリ漁場で例年以上の赤潮が発生。県全体の作柄は堅調にもかかわらず、同地区は色落ちで収穫が大きく落ち込んでいる。

 意見交換では大浦、たら、鹿島市各漁協支所の運営委員長が「タイラギもノリもだめで、このままでは生活できない。なぜ宝の海がこうなったか、一日も早い原因究明を」「西南部のノリ業者がいなくなる可能性がある」などと訴えた。

 山口祥義知事は、福岡高裁が開門を命じ、国が上告を断念して確定させながら履行されなかった2010年の判決を引き合いに、「就任早々、裁判での決着しかないと言われたのには大変強い違和感を覚えた」と言及。「(元長崎知事で)地元の大臣だからこそ、再生に向けてできることがあるはずと期待を持っている」と協力を求めた。

 金子農水相はこの日午前、小城市の県有明水産振興センターを訪問。漁業再生に向けた取り組みの説明をうけ、黄色く色落ちしたノリを試食して、「味はあるけど、塩っぽい」と感想を述べた。(寿柳聡)

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