事態読み違えた中国 ロシアと「蜜月」維持の狙いと、恐れていること

有料記事ウクライナ侵略の深層

聞き手 園田耕司
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 ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったあとも、米政権が「専制主義国家」とみなす中ロ両国は「蜜月関係」を維持し、中国は米国主導の経済制裁に強く反対しています。なぜ中国はロシアとの緊密な友好関係を保ち続けようとするのでしょうか。中国はウクライナ危機から何を得ようとしているのでしょうか。中国問題の専門家でもあるダニエル・ラッセル元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)に聞きました。

 ――ウクライナ危機をめぐる中ロ両国の関係をどう見ますか。

 中ロ両国は、お互いの国益が重なり合う部分があります。中国の習近平(シーチンピン)国家主席は、民主主義システムを毀損(きそん)したり、人権を独自に再定義する試みを進めたりするうえで、ロシアのプーチン大統領を重要なパートナーだと評価しています。米国を脅し、米国の同盟を押し返し、日本の再軍備を非難するために、習氏はプーチン氏を頼りにしています。つまり、ロシアの存在を利用し、中国は国際社会で孤立することを防いでいるのです。

 習氏は北京冬季五輪開会式で訪れたプーチン氏と会談した際、「無制限」の中ロ間の協力をうたった共同声明を発表しました。この協力とは、率直に言えば、日米に対抗するための協力という意味をもちます。一方、このときの両氏の長時間の会議で、習氏はプーチン氏が軍事力を使ってウクライナを掌握しようという試みをもつことを理解したはずです。

 しかし、習氏がプーチン氏の送ったシグナルを見誤ったのか、それともプーチン氏が話をミスリードしたのかは定かではありません。習氏にとってその後に驚きだったのは、プーチン氏が極めて迅速に軍を派遣し、これに対してウクライナ軍が激しく応戦し、さらには国際社会が一致結束してロシアの侵略に反対したということです。

 ――習氏にとってみれば、ロシアのウクライナ侵攻のあり方やその後の事態は予想外だった、と。

 習氏と中国指導部は明らかに…

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