第2回中国のLGBTQ、押しつぶされる「生存空間」 でも小さな希望も…
「北京LGBTセンター」という組織がある。
LGBTQ当事者らが2008年に設立。中国で差別視されることもある性的マイノリティーの心のケアや訴訟支援などを行ったり、その権利に関する啓発活動を行ったりしてきた。
2016年には国連開発計画の委託を受けて、北京大学とともに性的マイノリティーに対する中国社会の意識調査も実施。中国を代表するLGBTQの権利擁護団体として知られている。
かつて北京市中心部にあったその事務所に、毎週のようにかかってくる電話があったという。
相手の声は、男性のような時も、女性のような時もあった。会話の内容はいつも、あっけないほど簡単なものだった。例えば「昨日は暑かったね。何を食べたの?」という感じだ。
【連載】「虹をかけたくて 中国のLGBTQはいま」の初回はこちらから
中国に7千万人いると言われる性的マイノリティーたちがいま、激しい批判にさらされています。なぜ、多様な性が受け入れられないのか。攻撃される人、そして攻撃する人を、記者が訪ねました。
ただ、全国人民代表大会(全人代)など重要日程が近づくと「近々、大きな活動はないかな?」と探りを入れてくることもあった。
「国家安全省の職員からの電話でした」
私にこう教えてくれたのは、東京大学総合文化研究科博士課程の郭立夫さん(33)だ。中国人の性的マイノリティーを研究し、北京LGBTセンターの運営にも深く関わってきた。
郭さんは電話の目的について、「余計なことをするな、いつも見ているぞ、と言いたかったのでしょう」と説明する。
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