源氏訳へて聞こえてきた声 角田光代さんに聞く新刊「タラント」

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興野優平
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 源氏物語の現代語訳という大仕事を数年がかりでやり遂げた角田光代さんの新刊『タラント』(中央公論新社)は、現代に生きる女性が自分の生き方に向き合う物語。久々の小説執筆では、これまでにない体験をして、小説観が変わったという。

 40歳を前に、みのりは中途半端な日々を送っている。18歳で進学のために上京し、海外活動にも積極的なボランティアサークルにいたころの高揚感はとうになく、仕事にも情熱が持てない。ジャーナリストとして世界各地で活躍する親友とは少し気まずい間柄になってしまった。

 そんなみのりが偶然、香川の実家で祖父、清美に若い女性から手紙が届いているのを見つける。祖父は若い頃、戦争で左足を失っていた。黙して語ろうとしない過去と手紙の関係が徐々に明らかになっていく。

 みのりの半生は、周りの人物…

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