タイガーマスク運動から12年 ランドセル受け取った子が訴えること

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中村瞬
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 2010年、寅(とら)年のクリスマス。人気漫画「タイガーマスク」の主人公の「伊達直人」の名で、10個のランドセルが前橋市の中央児童相談所に届けられた。受け取った子どもの1人はいま、支援の輪を広げる活動を始めた。(中村瞬)

 群馬県伊勢崎市に住む高校2年の男子生徒(17)は、12年前にランドセルを受け取った10人のうちの1人だ。そのことを知ったのは最近だという。

 「ランドセルには、河村さんの思いがたくさん詰まっていたんだなと思った」

 河村さんとは、最初に「伊達直人」を名乗ってランドセルを贈った河村正剛さん(48)=前橋市=だ。「自分の思いがつながった。こんなにうれしいことはない」と語る。

クリスマスイブに思い立ち

 河村さんは都内で働いていた25年ほど前、当時の自宅近くにある児童養護施設を調べ、匿名で毎月1万円を届け始めた。その後、施設側からの要望もあり、施設を訪ねて子どもと一緒に遊んだり、クリスマスプレゼントを贈ったりしていた。

 05年に転勤で前橋市に住むようになってからも、この施設の支援を続けていたが、施設の子どもの数は支援開始時から2倍以上に増えていた。

 「このままではだめだ。もっと世の中に、施設や里親に育てられている子どもたちの現状を伝えなければいけない」

 そして、10年のクリスマスイブ。ふと思い立った。現金30万円を引き出し、伊勢崎市のショッピングセンターで10個のランドセルを買った。

 日付が変わる頃、中央児童相…

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